[2025/2/15追加]
2010年の日本SF大会にて展示させていただいた生け花のうち、映画『フランケンシュタインの逆襲』をテーマにした作品の記録です。
(旧自サイトSUSSANRAP内生け花コーナーより転載)
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2010/8/7~8 日本SF大会 企画展示『SF、ホラーを生ける/SFいけばなの試み』
“This is my creation”
(「これは私の創造物だ」)
From “The Curse of Frankenstein” (1957・Hammer Production)
映画『フランケンシュタインの逆襲』(1957・ハマープロダクション)より
(展示タイトルに引用したフレーズの訳は、展示主催者によるものです)
(展示タイトルに引用したフレーズの訳は、展示主催者によるものです)
もう一つのほうが抽象的なテーマだったので、こちらはとにかくわかりやすく、と小道具でベタに遊んでみました。
(展示時の解説文)
初のカラー版フランケンシュタイン映画。邦題はなぜか「逆襲」ですが、シリーズ1作目です。原作とは設定がかなり違い、主役のビクター・フランケンシュタインは男爵であり、マッド・サイエンティスト的に描かれています。
タイトルの「This is my creation」は、自ら創造した人造人間に殺されかけた男爵が、その後人造人間を始末するよう言われたときに、拒否して言う台詞です。原作とのキャラクターの違いや創造物への執着が、顕著に出ている言葉だと思います。18年間男爵を演じきった“Gentleman of Horror”、ピーター・カッシングに捧げます。
(…うーん、こんなもの捧げられてもなあ(笑))
偶然なのですが、展示スペースの後ろが白衣のハカセさんたちの控えスペースになりました。こういう展示のバックにホンモノの白衣さんがたむろしてくれるというのは、妙な一体感があったかも?(笑)
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花材はトルコキキョウ、スプレーカーネーション、アランダ、ウスネオイデスほかエアプランツ3種、アイビー |
試作では赤系の花を挿す予定でしたが、Exhalationに使うことにしたヘリコニアが朱赤だったため、急遽こちらは紫系でまとめました。で、カーネーションでは紫系が手に入らなかったため、同様に夏場に花保ちのいいトルコキキョウにしました。濃い紫のアランダも暑さに強い花です。色の構成はぶっつけ本番でしたが、なかなか気に入りました。
このデッサン用ハンドモデルに革のカバーをつけるパーツは最初に思いつき、材料も買い込んでいたのですが、実際にカバーをつくるのは最後になりました。
カバーのヒントは、じつはハマー版ではなく、ウド・キアーが若い頃にフランケンを演じた"Flesh for Frankenstein"という、内臓祭な(笑)映画からです。
その映画に出てくる人造人間は美男美女なのですが、体が寄せ集めでうまく動けないという設定で、木と革でできたコルセットのようなもので体を支えています。拘束感がうまく出ていたので、そのイメージからいただきました。
手首パーツを作ったときのテスト写真がこちら。カバーは革のはぎれにハトメをつけ、革紐でとじてあります。その下にクリアファイルを切ったものを巻き、防水しつつ形を支えています。キャンドルスタンドの釘のうえに乾いたままの丸い吸水フォームをかませて土台にし、フォームはエアプランツをUピンでとめて隠しています。
カバーの下に円柱状にカットした吸水フォームを差し込んで、ワイヤでしばるようにしたのですが、一日目の夜に固定していたワイヤのつなぎ目が外れてしまったらしく、二日目の朝に留めなおしました。試作より花をたっぷり挿したので、重かったみたいです。(笑)
空間が広いと、ぜんぜん違うイメージで出来上がりますね。面白いところです!
試験管から手首につなごうと思っていたアイビーは、葉の向きが上手くいかなかったので下に広げ、ビニールチューブだけ手首につなげました。机が広かったので、このほうがよかったです。やはり実際やってみると、いろいろ変更がでてきますね。
余談ですが、これの生け込みをしているとき、一般の方(大会参加者でなくとも入れるエリアだったので)らしきおばさまが「これ何の講習会?」と聞いてこられました。…ふだん生け花の講習会とかやってる会場なんでしょうか。(しかし講習会で手首から花は生やさないと思うぞ…(笑))
「いえ、講習会じゃないです」と答えたのですが、SF大会という催しをやっている、というのをご存知なかったらしく、不思議そうに見てらっしゃいました。うーん、普通生け花でこういうキモチワルイ表現はしないですからね。(笑)
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別ブログ「テッド・チャンさん備忘録」内のページです。そちらではSF作家テッド・チャンによる短編小説"Exhalation"をテーマとした生け花作品を同様にご紹介しています。