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2010年11月27日土曜日

BBC版シャーロック・ホームズ その2/コナン・ドイルの声

 

bbcholmes.jpgBBCテレビドラマ版・ピーター・カッシングのホームズを、ちょびちょび見ております・・・って、5本しかないので、もうあと1本しか残ってません。テレビのテンポに慣れてきたのか、すごくおもしろくなってきたんですが・・・ああ、5本しか残ってないなんて!16本全部見たい~~~っ!!!

これまでに見たのは『緋色の研究』、『バスカヴィル家の犬』、『ボスコム谷の惨劇』、『四つの署名』の4本。バスカヴィルはハマーフィルムの劇場版ホームズ(やはりカッシングがホームズ役)と同じ原作なのですが、ハマーのほうはホラーテイストで脚色されていたので、ちょっと比較しにくいです。なにより、ハマー版のほうはヘンリー・バスカヴィル(莫大な遺産を相続して、命を狙われる若い紳士)をクリストファー・リーが演じてまして、どーしても「ヘンリー卿とホームズ」に注目してしまうため、(一緒に出てくる場面なんて数えるほどですけど!)かなり不純な感想しか抱けなかったのもあり…(笑)。

今回、ナイジェル・ストックのワトスンがけっこう好きになったので(かわいいんですよ~~~♪)、ホームズの出番が少ないバスカヴィルもかなり楽しめたのですが…とりあえず、カッシングのホームズものをテーマに一冊作るしかないかと!? (またやるのか、国内盤DVD出てない作品で同人誌!サッパリ売れない同人誌!(笑))

…各々のエピソードの感想はまた改めて書くとして・・・昨夜見たドキュメンタリー、特典で入っていた『Sherlock Holmes: The Great Detective Documentary』が、ものすごいお宝映像満載でした!カッシングのホームズではなく、シャーロック・ホームズそのものについてのドキュメンタリーなんですが…なんと、コナン・ドイル本人の映像が…動いてるドイルせんせを見るのも初めて(たぶん)ならば、声を聴くのも初めてでした!なんか口をあんぐり開けてしまいました!こんな貴重なものをあっさり!!…晩年のものだと思いますが、声はわりと高めというか…年とってからのクリストファー・プラマーの声とちょっと似ていると思いました。

ドキュメンタリー自体の作りも自分にはお宝で、ロンドンのSherlock Holmes Societyというファン団体のホームズ誕生日のディナーに、ワトスンが招かれて思い出話を披露する、という微笑ましい趣向です。そこでワトスンを演じているのが…なんとジェレミー・ブレットのグラナダ版ホームズでワトスンを演じたデビッド・バーク!!!…個人的には、「ワトスン好き」になったきっかけが、この方のワトスンなんです。ハンサムで誠実で行動的で、でもホームズと比べるとちょっぴり抜けていて、憎めない素敵なワトスン♪(それがなんでチョロQになってしまったのか、自分でも謎です(^ ^;))

お顔の老け具合から、収録されたのはグラナダ版が終了してからそんなに経ってない頃ではないかと思います。途中で挿入されるドラマシーンもグラナダ版のもので、このBBC版よりグラナダ版DVDの特典につけたほうがいいのでは、と思われる内容なのですが…とにかくまったく期待していなかったので、あまりの貴重な映像にびっくりです!

ほかにもピンカートン本人の写真とか(アメリカのピンカートン探偵社の実在の創立者。時代が近いので、パロディーなんかでも言及されることがあるようです。ホームズそのものにも名前は出てきたかも…ちょっとうろ覚えですが…)、ワトスンがホームズとの同居を世話してもらうきっかけになったクライテリオン・バーの写真とか(あれ、入ってない?前に立ってただけだったかな?(^ ^;)…とにかく出てくるのです)、当時のロンドンの様子とか…まあ、ホームズ関連の本をいくつか読めば、写真ではお目にかかれるものばかりですが、ところどころに動く映像があったりするのが、すごく自分としては貴重でした。なんというか、当時の空気感?みたいなものが感じられて…。

…エンディングは、医療かばんを持ったワトスンの扮装のままのデビッド・バークが、かたわらを自動車が走っている現代の道路を歩いて去っていく…という洒落たものでした。遠景にビッグ・ベン。パチパチ(拍手)。…とうとうカッシングについてはまったく出てこなかった(笑)ドキュメンタリーでしたがこんな貴重映像を特典で入れてくれてありがとう。でもますます字幕入りで見たくなったぞ!国内のDVD会社さん、どーかお願いします、コレ字幕入りで出してくれませんかっ!!!

    *   *   *

日本のAmazonでは扱いがないのですが(以前に出たバラ売りのものはマーケット・プレイス扱いで載っていますが、特典のドキュメンタりーはついてないのではないかと・・・)[追記:bloggerへの転載時にはAmazon日本ストアでの扱いがありましたので、文頭画像にリンクを追加しています、ご興味がわいた方のために、販売サイトの該当ページにリンク貼っておきますね。(アフィリエイトではありませんです(笑))

ここは自分が何度か利用しているので、日本語対応可でいちおう安心できます。ほかの海外DVDを扱っているお店でも入手可能だと思います。ただ、リージョン1なのと、字幕は英語字幕もついてないので、そのへんはご注意ください。

DVD Fantasium "The Sherlock Holmes Collection"へのリンク

追記・アメリカのAmazonでは売ってました。こちらのほうが安いかもしれません。
Amazon.com ”The Sherlock Holmes Collection”へのリンク

2010年11月20日土曜日

BBC版シャーロック・ホームズ『Study in Scarlet』(1968)

 

bbcholmes.jpg(日本ではDVDが発売されてないんですが、カッシングがホームズを演じたBBCテレビシリーズのうち、現存している5本がパックされた『The Sherlock Holmes Collection』より、『Study in Scarlet』(緋色の研究)の感想です)

このコレクションに入っているのは「生き残った」5本なんですが、調べたところ全部で16本制作されたとのこと。残りのフィルムは紛失してしまったんですかね…なんと惜しい。

ディスクの収録は放映順ではないのですが、いちおう放映の早い順に見てみることにしました。まずは『Study in Scarlet』(緋色の研究)。1エピソード48分のドラマです。字幕は英語もついてないんですが、ホームズはいちおう話はわかるのでなんとか。

まず…本編とは関係ないんですが、オープニングのカッシングがかっこいい!ディアストーカーをかぶった横向きのシルエットから始まって、照明がついてこちらを向き、キョロキョロ目を動かして(この動作が何となくホームズっぽい♪)観音開きの窓を開ける…というだけなんですが。きびきびしてていい感じです。今見るとちょっと古風な表現ですが、そこがまたいい。(…いや、書いてみると大したことないですね。もう今惚れまくってますから針小棒大に喜んでます。すいません(^ ^;)))

ストーリーはまあ、ホームズなので省きますが、冒頭から驚きのお年玉(?)が!エド・ビショップ!『謎の円盤UFO』ストレイカー司令官をやった、エド・ビショップが出てたんです!…そういえばUFOハマリ度の深かったとき、ビショップのフィルモグラフィーにホームズへのゲスト出演があるのを見て、見たいなあ、と思った覚えが。まさかカッシングのホームズだったとは!…役はスタンガソンなので、脇役もいいとこですが…いや、もうこれ自分にはお宝ディスクになりました!

で、肝心のホームズ。…このエピソードは原作でも最初のもので、ホームズとワトスンの出会いから描かれる作品なのですが、ドラマではすでに同居(笑)しています。朝食のテーブルからご登場です。ワトスンとの掛け合いのテンポがいいです♪このワトスン好きだ…♪(笑)演じているのはナイジェル・ストックという方です。

ホームズはしばらくおもしろい事件にかかわっていないらしく、「ロンドンはつまらない街になった」とおなじみのボヤキが。ワトスンが雑誌の記事につっこみを入れて、それに反駁したホームズが「その記事を書いたのは僕さ」という例のシーンが演じられますが、ホームズは倦怠の演技でスルーする感じ。ユーモラスです。「現在興味があること」以外はどうでもいい、という性分を強調している感じ。

ジェレミー・ブレットのホームズだったら…と、ちょっと想像してしまいました。こういうときちょっと皮肉に口の端を持ち上げて、嬉しそうな顔をしてくれそうな気がする…。横目でワトスンを見たりして。勝手なイメージですが(^ ^;)。(グラナダ版にこのやりとりってあったかな…?)
俳優さんの解釈と個性によって、同じキャラでも表現が変わるもんだなあ、と思いました。もちろん脚本によりますけれど。…それによってワトスンのリアクションも変わって、二人の関係もそれぞれに個性のあるものになるんですね♪

…全体に関していえば、やはりテレビというか、スタジオ収録と屋外ロケの部分で露骨に映像の肌理が違うんですね。この時代のテレビドラマはまあ、こういうものなんでしょうね。カッシングはわりと美術のいい映画でばっかり見てきたので、テレビドラマで見るとうごく紙芝居みたいな印象はあります。意識したことなかったけれど、ちがうものですね。

でもやはり、きびきびしたホームズ姿とリズムのいい台詞回しはたまりません♪他のも見るのが楽しみです♪


2010年11月14日日曜日

『地底王国』DVD発売延期と原作

 サイトのカッシングコーナーですでに書いたのですが、いちおう…。

十一月発売予定とアナウンスされていた『地底王国』が、来月発売に延期されました。うーん、じつはこのブログに転載できる記事も残り少なくなってきたので、いいタイミングでリアルタイムの感想文にシフトできるかな…なんて思ってたんですけど(^ ^;)。ま、2回も延期になって、これで決定だそうなので、とにかく楽しみです♪

↓発売元サイトの紹介ページはこちらです。
allcinema CELECTION DVD『』 
http://www.allcinema.net/dvd/atec.html

自分はレンタルのVHSで見たきりなんですが…
内容は自家製ジェットモグラ(?)で地中に潜って、着ぐるみの鳥人間に支配されている世界を探検して、筋肉マン(ダグ・マクルーア)が露出度の高い美女(キャロライン・マンロー)を救ったりする他愛無いもの(笑)。着ぐるみもチープで笑えるんですが、筋肉マンと同行するカッシングの漫画チックなハカセっぷりとってもラブリーなんです♪あと、レトロなメカがけっこうポイント高かったりします。これがいつでも見られるようになるなんて…と、ほんとに楽しみです。

延期のニュースを見て、自分でも意外なほど落胆してしまったらしく(笑)、ふと思いついて原作を漁ってみました。エドガー・ライス・バロウズという作家のSF小説なんですが、残念ながら邦訳は絶版。けっこう古いものなので、もしかしたら原語版はパブリック・ドメインかも?とグーテンベルクを見てみたら、こちらはあっさり見つかりました。読みきる覚悟はありませんが(笑)、いちおうkindleに入れてみました。(映画を再見したあとのほうが読みたくなるかも…)
ご興味のある方はどうぞ♪

Project Gutenberg
At the Earth's Core by Edgar Rice Burroughs
http://www.gutenberg.org/ebooks/123

2010年11月7日日曜日

カッシング自伝

 

Peter Cushing: an Autobiography (自伝にはすでにちらほら触れておりますが、最初に読んだときの感想です)

カッシングの自伝、Peter Cushing: an Autobiography 、ちまちまと拾い読みしております。
じつはこれ、An AutographyとPast Forgettingという二冊の自伝を合本したものです。扉には「すべてを可能にしてくれた、最愛のヘレンへ」と献辞が。表紙にも奥様とのツーショット写真が使われています。・・・部分的にですが読んでみましたら、「すべてを可能にしてくれた」というのが比喩じゃありませんでした。支えるなんてもんじゃないです。もう圧倒されます。・・・そして、前に『恐怖の雪男』の音声解説で監督が言っていた「カッシングはテレビの生放送で演じるのを好んでいた」という話とは矛盾するエピソードが出てきました。

・・・1950年代のテレビはドラマも生放送だったそうで、おまけに数日後に「再放送」まであったんだそうです。つまりすっかり同じドラマをナマでもう一度演じるわけなんですね。
で、俳優さんの立場からすると、最初の放映が好評だと「再放送」のときに同じようにできるだろうかとプレッシャーがかかり、逆に最初の放映で不評を得た場合は、それをもう一度演じるのはこれまた精神的苦痛…というわけで、一回目と再放送の間の数日は「洗練された拷問みたいなもの」だったそうです。ちなみにこのチャプターの冒頭には
「テレビジョンてなんだか知ってる?」
「知らない。テレビジョンてなに?」
ツマミがついたピーター・カッシングさ!」
というジョークが載ってまして、まあそういう冗談が出るくらい出まくっていた、ということらしいです。

で、そのノイローゼ対策のために、奥様が主治医に頼んで、市場に出たばかりの薬を処方してもらったりしたそうなんですが効き目がなく、最終的に見つけた解決策というのが…なんと奥様にスタジオまで来てもらって、放映中コントロールルームにいてもらうこと。それで勇気が出たそうです。はあ…なんというか…か、かわいい…。(…もう三十代後半の話ですよ。「いい大人がナサケナイ!小学生かっ!?」…とは感じないのが、惚れた弱みです…(笑))

ちなみに医者に出してもらった薬はアンフェタミンだったそうで、「5錠飲んでも大して効かなかった」と奥様から電話で聞いた医者は「1錠で象が24時間失神してしまう薬」だと信じていたため、「それでまだ生きてるの!?」と聞き返したという愉快な(?)エピソードが書いてありました。お医者さんもよくわかってなかったんですね。ていうか、アンフェタミンてむしろ興奮系の覚醒剤では…???…とにかく効き目がなかったので薬に頼るのはやめたそうです。…効かなくてよかった!そのまま続けて薬物中毒になってたら、後年の美しい老け顔は拝めなかったかも…ていうか、ハマー映画にも出ることなく早死にして、五十年後に極東の腐女子が萌える機会なんて永遠になかったかも!(^ ^;)

とにかくヘレンさん、マネージャーの側面も良き母親の側面も…という感じのする、ほんとにありがたい奥様だったようです。今風の言い方で言うと「心が折れた」ときに勇気付けてくれた言葉(そういう手紙をたくさん書いてくれたそうです)を引用して紹介されています。…ああ、こんなことを言ってくれる人がそばにいたら、そりゃあがんばれるな、と心底思う言葉です。なんというか、浪速恋しぐれ的な湿った内助の功じゃなくて、すごく、すごく知的で力強いんです。甘やかすわけじゃなくて、言葉に凛とした説得力がある。この方がいなかったら、ほんとにのちのカッシングはなかったかもしれないな…と思いました。そして奥様は…素晴らしいけれど、ずいぶんムリもしたんだろうなあと、と思います。40代の写真が、もうおばあちゃんみたいな顔に見えます。「ムリをした人はエライ」という文脈は嫌いなので、いろいろ思うところがあります…。

…それはともかく、奥様が亡くなったときのことも具体的に、でも淡々と書かれています。こういう人を亡くしたのなら、その後カッシングが「いっきに老け込んだ」のもわかる気がします。「彼女が他界したときに自分の愛した人生も終わったので、この物語ではそれより後のことは書かないつもりだ」とAn Autographyのほうの冒頭にあります。当初は出版するつもりは無く、セラピーの一環として書いたものだそうです。

身近な理解者を得るのはすごく幸運なことですよね。うらやましい。でもうらやんでばかりもいられません。カッシングにしても、一番最初の始まりは、やはり逆境のなかで思い切って一人で動くこと、でした。俳優になってからも、いろんな事情でやむなく父親に金銭的援助を頼みに行き、「なぜまともな仕事を選ばなかった。お前はもうすぐ四十歳になるというのに敗残者だ」とか言われたり。(フランケンシュタインで初めて映画の主演をしたときって、もう44歳だったんですよね…)でもそういう経験や、けっこう精神的に脆い面を抱えて苦労した人だったのがわかって、人物としてリアリティーを感じましたし、親近感もわきました。ほんとに、「さも簡単にやってるように見える」ようになるまでに、どれだけの努力と時間が注がれていることか!

…読んだのはほんの一部なので、これからもちまちま読んでいきます。(インデックスがついてるので便利。とりあえずクリストファー・リーの出てくるところはすべてチェックしました。わりとあっさりと触れられていてちょっと残念?(笑))

2010年11月2日火曜日

『フランケンシュタイン 死美人の復讐』(1967)

 

フランケンシュタイン 死美人の復讐 [DVD] ピーター・カッシングのフランケンシュタインシリーズ第四作目、原題は『Frankenstein Created Woman』
「フランケンシュタイン、女人を創造せり」みたいな感じでしょーか?その「女人」はプレイメイト出身で、ジャケット写真では『フィフス・エレメント』のミラ・ジョボビッチ並の露出度だし、男爵はなんか持ってる刃物にきらーんと光が描かれていて「必殺仕事人?」みたいな感じだし、あー、今度はお色気路線ですか…とまったく期待してなかったのですが…

ジャケットのコピーを読むと…
「生きて添い遂げられなかった男女が、フランケンシュタイン男爵の手で一体の人造人間に!」(笑)
…ちょっと待て、ということはこの美女の「中身」は男なのか!?
そーいうことなら話は別だっ!!(なにがだ(^^;))
ていうかいつのまにそんな人情家になっちゃったんだよ男爵ぅ!…とか思ったんですが…
いや、バカにしててごめんなさいッ!冗談抜きでこりゃ傑作でした!

今回は人体の切った貼った(?)がなくて、「魂」をべつの体に注入する…という話でした。おかげで切り株系のエグイ映像はなし。そしてそして、なにより男爵が美しい!(^^;)…もともとはモフ・ターキンから転びましたから、フランケンとか初期のヴァン・ヘルシングとかは「ちょっと若すぎるんだよなあ…」とか贅沢言ってたのですが…とうとう中年期のカッシングでも萌えられるようになりましたッ!(笑)

今回の男爵はどう登場するのかと思えば…なんと自ら氷づけになって蘇生実験の実験台に。登場はその蘇生シーンです。…う、美しい…美しすぎるぜ眠り姫!(我ながらバカじゃないかと思いますが、ほんとに見とれてしまいました。何度見直したことか!(笑))

今回は衣装も黒装束が多くて、すっごくイイです♪上着を脱いだ黒いベスト姿でシャツを腕まくり!いやー、なんだかすごく色っぽい!コレですよ、やっぱ男爵は!(けっこう腕毛がボーボーだったりはするんですが…胸毛はうすいのにねえ(笑))

なぜか両手にずっと(食事中まで)黒い手袋をしていて、指先に力のいることができなくなっているらしい(手術も自分でしないで、指示だけして助手の医師にやらせる)のですが、これの前作でなにかあったんでしょうね。(これの前の作品は来年DVD化予定の『フランケンシュタインの怒り』らしいです。楽しみっ♪)この黒手袋姿が、またイイです♪

なんかあらすじも書かないうちに重箱の隅(いや、私にはメインディッシュ(笑))でエンジン全開しちゃいましたが…うーん、じつはあまり設定を書きたくない作品です。
「フランケンもので、今度は女を作る話にしようや」…って企画が出たとき、こんなストーリー思いつくかなあ、普通?…ってくらい、一ひねりも二ひねりもしてあるんです。予備知識がなかったおかげで「おおっ!そうきましたか!」と楽しめたので、未見の方にはなるべくそのまま、作品を見ていただきたいです。

まあ差し障りのない程度にいきますと、まず、「フランケンシュタイン男爵が女を作る」ですぐにイメージされるような、創造主と被創造物の間の疑似恋愛…これはまったくなし!(拍手!)今回は冷淡すぎるくらいの扱いで、第一作目の継ぎ目だらけのモンスター(クリストファー・リー)に対する態度のほうが、よっぽど愛情たっぷりでした(笑)。

今回の「被創造物」には個人的に背負ったドラマがあるのですが、そういう悲劇に対する感情移入はまったくない。大事なのはあくまで自分の実験が成功した結果できた作品だから、みたいな感じなんです。おかげでクールビューティーな男爵が維持されました(笑)。

…ありがちなほうの、創造物に感情移入する役割はというと、助手の医師がそれを担います。ああ、うまくできてるな。この人が「人情」の部分を引き受けてるから、男爵は安心して(?)かっこいい男爵でいられるわけです。

…とはいえ、今回の男爵はやっぱりドラマ上はわき役です。でもそのメインのドラマもよくできていて、ホラーと悲恋ものとマッドサイエンティストものが、きちんとかみ合っているんです。なので、男爵が出ていないところもまったく退屈せずに見られました。お話が、とにかく丁寧にできていました。なんだか嬉しい!(まあ埋葬して半年経った首が腐ってないとか、いろいろツッコミどころはあるんですが!(笑))

音楽ももの悲しく、フランケンものでは異色作、という評判にもつくづくうなずけました。しかしジャケット写真ははっきり言って詐欺です!(笑)というか、写真から想像するようなしょーもない映画ではなかったので、得した感があるというべきか。でも、写真のような露出度で女優さんが出てくるシーンはまったくないので、そのへんの期待で見た人には肩すかしでしょう。半裸の美女と男爵、というおいしい構図は本編にはこれっぽっちもありません!(笑)それにこの写真にある「お姫様だっこ」している男爵、カッシングの細腕ではなんかあぶなっかしいです!(笑)

特典には予告編のほかに、『ワールド・オブ・ハマー』というハマー映画のミニ解説番組みたいなのの、フランケンシュタインの巻(?)がついてます。ナレーションはオリバー・リード。これはたぶんテレビのシリーズものかなにかで、まえにYoutubeで同じシリーズのものを見たことがあります。

写真ギャラリーも枚数が多くて、作品のスチール以外に撮影中のなごやかなスナップがほほえましいです。カッシングの「いかにもブロマイド」なポーズの写真も貴重。ヒロインを演じたスーザン・デンバーグ(けっこう変化のある役なのですが、モデルさんの余技とは思えないうまさでした。もともと女優の勉強してた方なのか、それとも監督の指導がうまかったのか?)の写真では、もろに「今月のプレイメイト」な(笑)、作品とはまったく関係なさそうなのも入っているので、本編で落胆した方への救済策かな?なんて思いました。いや、マジでお見事なプロポーションでした。
(でも色気ではカッシングに軍配♪)

あ、書き損ねてましたが、ヒロインの父親役の人が、遠目にはデビッド・バーク(グラナダ版ホームズのワトスン!)似のなかなか素敵な俳優さんでした。出番が少なくて残念!(^^;)