カッシング丈お誕生日おめでとうございます!今回は初見したばかりの作品について書きます。
カッシング丈最後の出演映画、という情報しか知らなかった『ビグルス』、このたびようやく鑑賞することができました。というのは、郵便でレンタルできるツタヤディスカスの単品レンタルに手を出したんですね(笑)。お店に無いものもレンタルできるようになりました。
ただこれ、音声が英語ではなくなぜかスペイン語のようで。B級作品でスペイン制作はありそうなので(失礼)もともとそうなのかと思ったら……吹き替え版のようです。
ビグルス 時空を越えた戦士(Amazon)
レビューを見るとセル版もこのバージョンみたいですね。確かに音声表示はレンタルDVDでもEnglishと出るのでちょっとひどい!(^^;) このせいで必要以上に評価を下げてますね。カッシング丈の吹替はなかなか似た声ではありますが……。個人的にはマカロニウエスタンのスリコミとかありまして、スペイン語やイタリア語ってなんとなくB級感が増して聞こえてしまうんですよ。(ごめんなさい💦昔ジローラモさんとか好きでイタリア語を習ってたこともあるんですけど、スリコミは恐ろしい!)というわけでのっけから盛り下がる鑑賞だったんですが、それがのちに印象激変するとは……!
さて、ストーリーは現代(公開当時)の青年が第一次世界大戦時の前線にタイムスリップし、そこでビグルスという英雄的なパイロットと出会い、協力してドイツ軍の秘密兵器を破壊する、というSF冒険映画。カッシング丈は、主人公にコンタクトをとってくる謎の老人ウィリアム・レイモンドを演じています。でも見ていると、
「主人公はどう見てもタイムスリップした現代青年なのに、なんでタイトルロールはパイロット?」
「ひょっとしてビグルズさんてじつは有名な実在パイロット?」
「……シリーズもの?」
と疑問噴出の演出なんです。「B級だから」で片づけるにしても問答無用すぎて、そのわりに空中戦のアクションは力が入ってたり。(ここはけっこう見ものです☆)でもカッシング丈の出番は少ないし、正直退屈で何度かに分けてやっと見終わりました(^^;)。
原作があるんじゃないのか?という印象が大きかったのですが、いつも見てるallcinemaさんのクレジットには「原作」という欄はなし。…でも「Biggles」って単語にカーソルを合わせると、PCの辞書機能が起動するんですよ。マイナーな映画なのになぜ?と検索してみたところ……とんでもないことがわかりました!
じつは原作はビグルス(架空のキャラ)が主役の子供向け冒険小説で、なんと100作近くある人気シリーズとのこと! イギリス本国では観客に予備知識があったんですね。そしてもともと「お子様向け」だったわけです。
道理でコンナ映画なのに(ごめんなさい(^^;))音楽の参加アーティストが当時なりに豪華(「子どもの頃読んでた!参加できて嬉しいよ!」的な?)だったり、説明不足(というかおそらく「説明不要」)だったり、続きがあるっぽかったりしたんですね。納得できました。
英語版Wikipediaには情報が充実しているのでリンクしておきます。(今のブラウザはサクッと翻訳してくれるので便利ですね♪)
原作者W. E. Johnsについて
ビグルスについて
記事が長いのでざっと見ただけですが……作者自身も一次大戦でパイロットだったそうで、ビグルス・シリーズは一次・二次大戦あたりを舞台にした冒険物語シリーズのようです。(映画の幕切れを見ると、冒険の舞台は戦場に限らないのかも(笑))カッシング丈が演じたレイモンドも原作に出てくるキャラクターで、ビグルスの上司なのでした。うーん、なんだか最後にこんな映画で零落した配役(涙)…みたいに見えてましたが、むしろカッシング丈を取り込むことで映画のトリビュート感を高めているのでは? そうでしょ? いやきっとそうだ!!(断言)
wikiからリンクされている「ビグルス・シリーズ」のファンサイト(?)もすごいです。
WWW.BIGGLES.COM
レトロな表紙イラストが、今見ると別の意味で魅力的ですね。残念ながら邦訳はないようですが……もっとも時代を反映して人種差別的なところがあったそうで、しかも子供向けですから翻訳なんてあり得なかったでしょうね。(二次大戦時なんかニッポンは敵対国ですし☆)
でも英語版原作は今でもAmazonにあって、なんとkindleでも配信されていました! で、1作目"Biggles: The Camels are Coming"のサンプルを落としてみたところです。これからチラッと覗いてみます♪
…お話を映画に戻しますが……どうやら映画のタイムスリップは「現代」にすり寄せるための映画独自の工夫で、出てくるキャラも(「現代人」以外は)原作のいろんなところから引っ張ってきているようです。一次大戦ものにそぐわない「現代的(公開当時の)」でポップな音楽も、ある意味ご祝儀的なものだったのでしょう。原作ファンには「こう来たか」的な楽しみ方ができたのかもですね。
で、本家イギリスでの評価はどうなの?と気になりまして、UKアマゾンのDVDページを見てみました。こちらではなんとブルーレイまで出ていて、評価も高い!
Biggles: Adventures In Time [Blu-ray] [2015] (Amazon.UK)
やっぱり「子供の頃原作が大好きだった/映画を楽しんだ」というファンがたくさんいらっしゃるんですね。(レビュー欄の熱さを見てください!) でもそれはやはりノスタルジーで、映画が残念な出来だという評価は同じ。アメリカ向けのマーケティングのせいだという指摘も。なるほど、たしかにあの青年はアメリカ人でしたもんね。下に引用させていただきます。
Amazon.UKのレビューより(訳は自動翻訳のままです)
全く異なる2つの層、すなわち、文学上の英雄として名高いキャプテン・W・E・ジョンズの熱心な愛好家と、そのキャラクターを全く知らない1980年代のアメリカの観客を引き付けようという楽観的でありながらも素晴らしく不自然な試みで、イギリスの映画製作者たちは1980年代半ばに、必然的にどちらをも満足させない映画を作り上げてしまった。
…そんなところが現実なのでしょう。それはともかく、レビューを読んでいたらきれいな画面で観たくなってしまいましたよ~(笑)
映画の最後はシリーズ化の可能性を見せているので、一作目が成功していたら現代青年とビグルスのバディものシリーズができていたかもしれませんね。どちらの俳優さんもステキなので、腐女子受けしてコミケに島ができそう。(おい☆(笑))見てみたかった気もします。もちろん映画として面白ければですが。そしたらカッシング丈の晩年の当たり役が増えていたかも……いろいろ想像をかきたてられました。戦争モチーフなのでファンタジックな設定に違和感がありましたが、タイムスリップもドクター・フーに近いノリで見るのが正しいのかも。
…なんて書いてたら、Youtubeで音声英語版の「禁断の全編アップ」を見つけてしまいました……この手のアップはわりとすぐ消えたりするので、今のうちに見ておこうかな。自動翻訳の字幕も借りたDVDより意味が分かりやすかったりするのですよ。言葉遣いヘンだけど。(^^;) 埋め込ませていただきます。こっそりとどうぞ☆(笑)
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業務連絡:お知らせしておりましたkindle版『脳人形の館』の新装版への更新と別冊ふろくの新規登録は、先ほどファイルのアップロードを終え、現在Amazonの審査待ちです。公開されてみないと商品ページの印象や見本の分量がわからないので(なぜKDPって商品ページのプレビューないんだろう?)、いろいろ整えてから正式にお知らせすることになると思います。とりあえずは、本日5/26のリリースという記録になることを祈ります。(中に書いてる奥付はそうなっています(笑))
追記:……とか書いていたら、別冊付録のほうはもう公開されていました!(はやっ!) 改めて次の記事にてお知らせさせていただきます!