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2011年8月3日水曜日

『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(1960)

 私事でちょっと間があいてしまいました。遅ればせながら、5月に発売されたDVDの感想デス。

ハマーのドラキュラもの第二作。ピーター・カッシングはヴァン・ヘルシング教授で再登板。といってもクリストファー・リーは不在・・・。ドラキュラの代役ではなくマインスター男爵という別の吸血鬼が出るので、正直言ってこのタイトルは詐欺。(笑)

お話は、女学校に赴任するフランス人美人教師が、旅の途中で馬車に置いてきぼりにされ、一夜の宿の提供を申し出た地元の貴夫人(美輪明宏似)の館にいくと、そこには母に監禁された美青年が。ヒロインは彼を母の手から救い出そうとしますが・・・。

いまいちノれなかったのは、「目もくらむハンサム」(予告編のフレーズ)のはずのマインスター男爵が自分の目にはいまいち(笑)だったこと。特に吸血鬼になったときがひどい。ヒロインはグラマーで顔もちょっとブリジット・バルドー系ですが、教師という役柄なので節度あるフランス美人になってます。なかなか押し出しがよろしゅうございます。

でも、もちろん見所は徹頭徹尾ジェントルなヴァン・ヘルシング教授!滑らかでやさしく上品な口調がたまりません。
森の中に倒れていたヒロインを見つけて介抱するのが登場シーンなのですが、そのときの口調がもう。あんな声で「安心しなさい。私は医者だ」なんて決まり文句を言われたら、ヒロインでなくともすっかり安心してしまいそう。(実はなんの保証にもならない言葉だけど!(笑))

一作目のヘルシングよりさらに紳士度がアップ。引き立て役の下卑た医師や校長なんかも出てきたせいか、ただの紳士という以上の「高潔な紳士」という面が強調されてます。とても素敵でした♪

伯爵との対決シーンは、すでにYoutubeで見ていたのですが、自分で「治療」しちゃうのがすごい(笑)。前半の穏やかな物腰を見たあとだと、アクションに萌えます。つかのまとはいえ「ヘルシング教授が吸血鬼にされる」というのは、すごく見たかった萌えるシチュエーションなので、教授を噛むのがクリストファー・リーでなくてものすごく残念です!

男爵の母と、坊っちゃま(男爵)に執着を示す乳母にドラマあり。演じる女優さんたちもベテランらしくパワフル。感情の起伏も大きく、大芝居で存在感ありました。教授の出演シーンを除けば、ほとんどこのお二人のおかげで持っていた気がします。マインスター男爵にもっと存在感があるか、チョロくてももっと美形であるかしてくれればもっと楽しめたのにィ・・・と惜しまれます。

2011年5月26日木曜日

生誕98周年と『フランケンシュタインの怒り』(1964)

 祝・ピーター・カッシング生誕98周年!

…今日はカッシング丈のお誕生日ですね。1913年5月26日生まれ…ということは、あと二年で百周年になるんですね。なんか今さらですが、「そんなに昔の人なんだ…」と感慨が。DVDで作品を見ているとまったく時間のズレを感じないので、不思議な感じがします。

思えば、個人的にカッシングに萌え返したきっかけは、二年前の5月末に地球侵略戦争2150のDVDを購入したことでした。なので、なんとなく自分の中では、5月の末頃というのはカッシング丈と縁がある季節(?)になっています。

その上今年は、まるでお誕生日に合わせるかのように、前日の25日にフランケンシュタインの怒り吸血鬼ドラキュラの花嫁がリリースされました。(予約していたのですが、発売前日の24日に到着しました♪)


で、まずは『フランケンシュタインの怒り』を拝見しました。本邦初ソフト化という、ハマープロのフランケンシリーズ三作目。『フランケンシュタインの復讐』と『フランケンシュタイン・死美人の復讐』の間になるんですね。

しかし…ストーリーは、男爵が自分の城のあるカールシュタットに戻り、以前に作ったクリーチャーが氷づけになっているのを発見するというもので、『フランケンシュタインの逆襲』(フランケンシリーズ一作目)とは違う過去が作られており、話がつながってはいませんでした。男爵の助手は『復讐』と同じハンスという人なんですが、キャラが違い、男爵と一緒に行動している理由も「自分でもわからない」なんて言ってます。(笑)『復讐』のハンスには、ちゃんと彼なりの動機がありましたもんね。

クリーチャーのデザインの著作権問題が解決して、ボリス・カーロフ版に近いデザインが使えるようになった…という事情はハマーのドキュメンタリーなんかで見ていたので、そのためにあえて別物にしているのかも…と思いました。だからこれは、ハマーのフランケンではありますが「パラレルワールドの男爵」みたいな感じです。

それはまあ、いいのですが…映画自体がうーん…。(^ ^;)これまで日本でソフト化されていなかったのも納得です。あれだけカッシング丈が出ているにも関わらず、途中で眠くなってしまいました。自分の寝不足のせいばかりではないと思います。なんというか、お芝居の見せ場がないというか、話にメリハリがないというか。さっきのハンスをはじめとして、キャラの行動の動機があいまいで、シーンによってちぐはぐな感じもあります。たしかハマーのドキュメンタりーで、監督のフレディ・フランシスがこの作品について、「撮影を終えたあと休暇で留守にして、帰ってきたらもう編集されていた」とか話していたような気がするんですが…そのへんの事情もあるのかも?

ただ、このDVDには特典として「テレビ放映版のみにあるシーン」がついています。これがなかなか興味深いです。というのは、作中に出てくる聾唖の女性が、少女時代にクリーチャーに出会っていたという過去が描かれているんです。クリーチャーと一般人との交流というシークエンスは、違う形ですがメアリー・シェリーの原作にあるので、そこからインスパイアされたアイデアなのかな、という感じもします。(そういえばミツバチのささやきという、フランケンシュタインのクリーチャーと少女をモチーフにした映画がありましたよね。うろ覚えですが…。少女とクリーチャーって想像力を刺激する組み合わせなのかも?)

この部分は、本編のショッキングな場面をテレビ用に削除して、その尺を埋め合わせるため、あとからアメリカで別のキャスト・監督で撮ったということなんですが、これがあったほうがストーリーとしてはまとまりがいいし、女性キャラの存在理由もわかるので、本来の脚本はこういう話だったのでは?とさえ思います。(ホントにただの後付けだとしたら、このアイデア出した人すごい!ていうか、もともとの脚本がこういうアイデアなしだったとしたら、すごく残念賞です!)

でも、やっと『死美人の復讐』での男爵の手が不自由らしかったこと、黒手袋を外さなかったことの理由がわかりました。個人的にはこれで、カッシングのフランケンシュタイン男爵はすべて制覇したことにもなります。感慨無量です。

2011年5月14日土曜日

予約受付始まってました。(『フランケンシュタインの怒り』『吸血鬼ドラキュラの花嫁』)

カッシング作品のDVD、『フランケンシュタインの怒り』『吸血鬼ドラキュラの花嫁』の予約受付が11日から始まっていたみたいです。私事でごたごたしていてチェックが遅れましたが、さっそく予約してきました♪受付はこちらです。

→allcinemaSELLECTION
(※引っ越し時点では販売終了しています)

やっぱり同時リリース…到着を待つ楽しみがいっぺんに終わってしまうのがもったいないです。(笑)英語字幕もやはりないみたいですね…ちょっぴり残念ですが、自分には未見のカッシング作品ですし、フランケンのほうは日本初ソフト化だそうですね。楽しみです♪

2011年5月8日日曜日

『若妻・恐怖の体験学習』(1972)

 

若妻・恐怖の体験学習≪初DVD化≫【ユニバーサル・セレクション1500円キャンペーン/2009年第5弾:初回生産限定】久しぶりに品揃えのいいレンタル屋さんに行って発見しました。しかしなんて邦題だ。原題は"Fear in the  Night"なのに…。(笑)

これは、カッシングの旧作を漁りまくっていたときには(当然ながら)近所のレンタル店になく、セル商品は見かけたんですけど、あんまりなタイトルなので(笑)レジに持っていく気になれなかったものです。カッシングの出番は10分程度とも聞いてましたし。出演シーンはYoutubeとかでちらちら見てましたが、全体がこういう話だとは知りませんでした。

お話は…ノイローゼで入院経験のある女性が、全寮制男子学校の教師と結婚し、学校の敷地内の家に引っ越してくるのですが、引っ越す前から「片手が義手の謎の男」に背後から首を絞められる体験をしています。それがここでも起き、周りに訴えても病歴のため妄想だと本気にしてもらえず、さらに襲撃がかさなって精神的に追いつめられ…さて真実は一体?というもの。タイトルから想像するほどひどい映画ではありませんでした。(笑)若妻は内向的なゴールディー・ホーン(?)という感じのすごくかわいい女優さんですが、首を絞められるだけでサービスシーンに当たるようなものはまったくありません。逆にタイトルから期待して借りた人は怒るんじゃないでしょうか。(笑)

カッシングは学校の校長役でした。マイケル・カーマイケルというへんな名前。(笑)でもチョビ髭がDr.Whoのときをホーフツとさせる、礼儀正しい老紳士風でステキでした。メガネに黒のケープ姿が似合っていて、まるで絵に描いたような…というか、実際映画の中にその姿の肖像画が出てくるのですが、すごくそっくりでした。思わずほしくなりました…。(これも私見でのルックス最盛期・1972年作品なんですよね…クラクラきます(笑))

なかなか不気味なキャラでもあり、じつは切ない設定もあり(ネタバレは避けますが、大食堂で食事するシーンとか、授業のシーンとか、一瞬ですがキュンときました)、最終的には重要な役でした。が、いかんせん出番が少ない!終盤もっと姿を見せてくれてもいい気がしますが…なにか撮影できない事情があったのかな、と思わせる撮り方です。あえて姿を見せないことの効果もたしかにありますが…(それにあんまり出ると「若妻」の存在感を食ってしまいますし(笑))

主人公の優しい旦那役がラルフ・ベイツという俳優さんなんですが、地味にハンサムでステキでした。どこかで見た顔だと思ったら、同じハマープロ作品の『ジキル博士とハイド嬢』でジキルをやってた方みたいです。これはまだ見てないんですが、ハマーのドキュメンタリーで断片だけ見ました。ジキルとハイドのバリエーションで、ハイドになるとき性転換してしまうというぶっ飛んだ映画です。これも今回行ったレンタル屋さんにはあったので、今度借りてみようかな、と思います。

(ハイド役の女優さんとは一見顔は似てないんですけど、顔のパーツの位置とかが一致しているらしく、画像がオーバーラップするシーンが違和感なかったです。それにやっぱりハンサムだし♪性転換じゃなくて性格だけが変わって、裕福な同性愛者の老人を籠絡しまくるなんてバージョンがあったら、購入して永久保存版にするんだけどなあ…(笑))

脚本・監督・プロデュースは、ハマープロのプロデューサーのジミー・サングスター。タイトルで覚悟しすぎたせいか、ちゃんとオチがある脚本で逆にびっくりしました。もう一人脚本担当としてクレジットされていたので、アイデアを口述する程度だったのかもと想像しますが?(スミマセン。プロデューサーという肩書きに偏見があるらしく…(^ ^;))

ハマー映画を見ると、わりとこういうことが多いです。ふつうの意味で傑作映画とは言いがたいけど、題材などから、見る前にある程度のレベルの低さを覚悟させるところがあって(笑)、見てみるとそのレベルはたいてい上回るので、「意外にちゃんとしてるじゃん!」と妙な好評価をしてしまう…まあ今の自分なら、カッシングさえ見られれば最初から五十点くらいは入っちゃいますけど…。(笑)

2011年4月20日水曜日

吸血鬼に噛まれたら

 久しぶりにallcinema SELECTIONさんのサイト(→こちら)を見に行ったら、今年リリース予定と告知されていた『吸血鬼ドラキュラの花嫁』『フランケンシュタインの怒り』の進行について触れられてました。DVDの生産工場が東北だということで、先月のリリース作品が発売延期になったのが記憶に新しく、カッシングの2作品はちゃんと今年出るのかなあ…と心配していたところでした。嬉しいです!(工場も再開できたということでしょうか。だとしたらよかったですね!)

しかし、売りは日本語吹き替え音源…というあたり…。(^ ^;)拝見してると、わりといつもそういうノリで宣伝されているので、テレビで見ていた方々がここの常連客さんなのでしょうね。
自分はテレビ放映でのスリコミはありませんし、ご本人の声が聴きたいミーハーなので、正直日本語音源はなくてもかまわないんですが…。(すいません!そんでもってむしろ聞き取り練習用に英語字幕がほしいです!(^ ^;))

両方未見作品なので、同時リリースとかしないでほしいな~、というのも実はあります。なんだかそうなってしまいそうな気配ですが…。(自分には安い買い物ではないので、お楽しみがいっぺんで終わってしまうのがもったいなくて…って、自分で時間差つけて買えばいいだけのことなんですが、出ているものを買わずにお預けって苦しいかも…(笑))


『フランケンシュタインの怒り』は日本初ソフト化だそうですね。以前買ったハマーのフランケンシリーズのサントラで、テーマ曲がすごくかっこよかったのを覚えています。クールビューティーな男爵を早く見たいです♪(でもこれを見てしまうと、カッンシグのフランケンシリーズはすべて見終わってしまうので、なんだか寂しいような気も…)

『吸血鬼ドラキュラの花嫁』は、前にYoutubeでいろいろ漁っていたとき、この作品からの編集と思われる面白いビデオがあって、母艦サイトの日記で紹介させていただきました。こちらのブログではたしかご紹介していなかった気がするので、リンクしておきます。よかったらご覧ください。題して『ピーター・カッシングが教える、吸血鬼に噛まれたときの応急処置法』。字幕が笑えます~。(笑)

→Youtube "Healing a Vampire Bite by Peter Cushing"

2011年2月20日日曜日

『赤い風車』(1952)

 ピーター・カッシングの初期の出演作で、タイトルだけ覚えていました。近所のレンタル屋に無く、ワンコインDVDにはなっていたのですが、ワンコインのほうの画質が酷評を受けていて、そのうえ脇役だし買うまでもないかな…と見逃していたもの。最近再入会した、品揃えのいいレンタル屋さんで見つけたので借りました。しかもワンコインではないバージョンのがあったので、良い画質で見ることができました。クリストファー・リーもちょい役ですが出ていました。

…まず、「赤い風車」ってなんのこっちゃと思ってたんですが、ムーラン・ルージュのことだったんですね。パリに実在するお店(なんていうんだろう…ウィキペディアでは「キャバレー」と書いてあるんですが、ニッポンジンの自分が想像するキャバレーとはまるで別物。(笑)お酒を飲みながら踊りを見たりするんですが、酒場じゃなくて劇場みたいな規模です)で、そこの常連だった画家・ロートレックの伝記映画でした。監督はジョン・フォード。ストーリーよりも、踊り子さんたちのメイクや衣装、全体の色使いなど、ロートレックの絵がそのまま動き出したような映像が見ものでした。しかしカンカンてあんなに嬌声をあげながら踊るものだったんですね。これまでに見た映画よりうるさかったです。(笑)

驚いたのが、主役のロートレックを演じていたのがホセ・ファーラーだったこと!最近立て続けに大作の悪役で見ていた人でした(『偉大な生涯の物語』のヘロデ・アンティパス、『アラビアのロレンス』のトルコの変態将軍(笑))
ロートレックのときは髭とめがねでほとんど顔がわかりませんが、二役でロートレックの父親役もやっていて、こちらだとよくわかりました。

カッシングは「誰もが憧れるような美男の金持ち」役。(笑)ロートレックとなんとなく両想いになるデザイナーの女性が出てくるんですが、その彼女にアプローチしている、ライバル的な位置のキャラクターです。ですが、別にロートレックを意識するでもなく、ロートレック自身がひねくれているために女性が離れていき、どっちかというと当てつけ的に結婚する相手です。本当は愛されていないのを承知のうえで結婚するという、恵まれた容姿のわりに傲慢さのかけらもない、殊勝な人でした。(笑)

出番は1シーンだけでほんのちょっとですが、競馬場でグレーの正装をしていて、ほんとに品のいい美男の紳士でした。(『マイ・フェア・レディー』でのジェレミー・ブレットが、やはり競馬場で同じような扮装をしていたのをちらりと思い出しました)巻き戻して数回見てしまいました。目の保養です。(笑)
よく聞き分けられないので確信はありませんが、フランス訛っぽい英語で話しているように感じました。(キャラはみんなフランス人の設定ですが、英語の映画ですから)

じつはそのシーンにいくまでに、「カッシング丈はどこに出てくるんだ」と目を皿のようにしていたので、「それっぽい人」を背景に二人ほど見つけていたのですが…ちゃんと役がついてるのにカメオ出演をするはずもないですね(笑)。自分の願望による見間違いだと思われます。

クリストファー・リーは、カフェにたむろしている芸術家仲間の一人をやってましたが、髭つきでオシャレ…というか、かっこよかったです!台詞もありましたし。

ニコール・キッドマンユアン・マクレガーが出ていた『ムーラン・ルージュ』でも、たしか強烈なルックスの、ムーラン・ルージュの支配人が出てきましたが、この映画に出てくる支配人も顔つきが似通っていて、オヤと思いました。実際ああいう感じの顔の人だったんでしょうか。
ただ、主役のロートレックは「あんまり似てない」と思いました。昔見た写真のイメージしかなくて、なんか「リンゴ・スターそっくり」と思った記憶があるのですが、そのイメージとはだいぶ違ったので…。(思い違いだったらすみません。>リンゴ・スター(^ ^;))

ロートレックは子供の頃のけがで足の成長が止まったため、上半身とはアンバランスに下半身が短く、その外見のコンプレックスや女性との軋轢、飲酒癖…と悲劇的な生涯に描かれています。こういう、よくある「芸術家破滅物語」は正直あまり好きじゃないんですが…(自分も下手ながら絵を描くことや創作することに足を突っ込んではいるので、「そういうことをする者は不幸になる」なんてイメージを、ステレオタイプとして刷り込みたくないんです)…死の床で昔のムーラン・ルージュの踊り子たちを幻想するあたりは、手もなく泣かされてしまいました。ああ、我ながらふがいない。(笑)

作中では、ロートレックが描いた有名なムーラン・ルージュのポスターに描かれている鷲鼻の男性が出てきました。みるからに特殊メイクなんですが、ほんとに「絵から抜け出てきたよう」に撮っていますね。やはりそのへんが売りだったようです。

2011年2月9日水曜日

『残酷の沼』(1967)

 

残酷の沼 [DVD]

(今回もリアルタイム記事です。というか、2010年の過去の記事はほぼ使い切ったので、それ以前まで遡るかどうか思案中です…でも、また来月あたりニューリリースがあったりするんですよね♪それはまた別の話…)

ピーター・カッシングのフィルモグラフィーにあった作品ですが、ご縁がなくて見られなかったもの。最近再入会したレンタル屋さんにあったので借りてきました。アミカス・プロダクション制作のオムニバス・ホラーです。監督はビジュアル重視のフレディ・フランシス。原作・脚本は『サイコ』ロバート・ブロックです。

アミカス・プロのオムニバス・ホラーは、昔テレビでよく放映されていたそうで、レビューとか拝見しているとそういう思い出話がよく出てくるのですが、自分はそういう思い出はありません。カッシングにはまり直してから漁っているクチですので、すべてDVDが初見です。でも、何本か見てみると、なんとなくアミカス作品の個性がわかってきますね。嫌いじゃないです。(笑)

今回の舞台は恐怖が売り物の見せ物小屋。オプションサービス(?)にお金を払った客たちが、自分自身が将来陥る…かもしれない、恐ろしい未来を見せつけられます。客ごとに一つのエピソードになっていて、計四本のエピソード。みんな超自然的落ちで、ホラーというより『世にも奇妙な物語』という感じ。仕方ないことですが、今の目で見ると正直怖さより苦笑が出ます。まあそれを言うのは野暮ですね。(^ ^;)

カッシング以外のキャストで私にわかるのは、見せ物小屋の案内人「ドクター・ディアブロ」役のバージェス・メレディス(私にとっては、『ラブリー・オールドメン』でのジャック・レモンのお父さんのイメージです(笑))客の一人をやったジャック・パランス(この方は『バグダッド・カフェ』の画家のイメージが頭に浮かびます)くらいでした。ピーター・カッシングはジャック・パランスのエピソードに出てくる、祖父の代から続くエドガー・アラン・ポー関連品収集家役でした。名優二人のお見事な競演。エピソードの冒頭をのぞくと、ほぼ二人芝居でした。

パランスのキャラは、カッシング演じる大コレクターと、エドガー・アラン・ポーのファンの集まりで知り合います。カッシングのコレクションに激しく惹かれるんですが…当然ながら売ってくれないんですね(笑)。このへんで一瞬、微妙な緊張感が生まれます。パランスの手から本を取り返すときの、カッシングのかすかな間の取り方…さすがにうまいですね。こういう細かいところが。

ジャック・パランスの粗野な容姿と、いかにもアメリカ人的(?)な…ストレートに売ってくれとか言ってしまうところ…すごく極端に言うと、「金でなんでも手に入れられる」と思ってそうな成金ぽい感じとか、コレクションに心を奪われてわかりやすく目をギラギラさせちゃう田舎モノっぽさと、それをちょっと見下しているような紳士然としたカッシングとの温度差…台詞でほのめかされるわけではないので、純粋に俳優さんの演技によるものですね。こんな話なのに(笑)贅沢です。

パランスはその後、カッシングの自宅を訪ねます。カッシングにどんどん酒を飲ませてコレクションを見せてもらい…(酔わせてどうするつもりぃ~?♪とか虚しい野次を飛ばすバカな腐女子がここに(笑))…ついには地下室にある秘密のコレクションを見せてもらうのですが…。

このオチはもう、今の目で見たら反則というか(笑)、「おいおい」って感じなんですが、ある意味究極のコレクションかもしれません。ラストのパランスのリアクションは、個人的にはちょっと理解しがたかったのですが…うーん、これは見る人によるでしょう。

映画全体のオチはちょっとひねりもあって、うまくまとまってます。パランスはちょっとおいしい役でした。カッシング鑑賞の点でも、感情の起伏の幅が大きく、年代的にも美しい(自分好みの(^ ^;))時期なので、わりと堪能できましたです♪
映画としても…これに限らずアミカス作品て、美術とかチープなんですけど、なんか手仕事特有の密度が画面に感じられて、イマドキの作品にはない魅力があります。

ただ、「残酷の沼」という邦題は謎。「沼」はどこにも出てきませんでした。言葉としても、映像としても。原題は"Torture Garden"。直訳すると拷問の庭、ですよね。これは心理的拷問という意味で文字通りなんですが…どこから沼がきちゃったんだろう?謎です…。

2011年2月2日水曜日

『The Return of Sherlock Holmes: 1』

 

The Return of Sherlock Holmes: 1リアルタイムの記事です。ピーター・カッシングによる「新発売」のシャーロック・ホームズ朗読CD『The Return of Sherlock Holmes: 1 』、Amazonでは2/7発売と告知されてたのですが、予定より五日ほど早く、今日届きました。とりあえず速報の感想を!

ジャケットにはハマー・プロダクション制作の『バスカヴィル家の犬』でのホームズ姿のカッシング。おなじみのディアストーカーをかぶり、ビッグ・ベンをバックに合成されてます。ステキです♪(読まれているエピソードの姿ではないのは残念ですが、ないものねだりですモンね(^ ^;))

裏側の説明を読んでみますと、1971年に録音されたもののデジタル・リマスターで、なんと商業的に発売されるのは初めてだそうです。となると、ラジオ用かなんかの録音だったのでしょうか。(中のスリーブをまだ読んでないので、そっちにかかれているかもしれませんが)正真正銘の「新商品」ですね!前に自伝の朗読CDを出したのと同じレーベルのようで、そちらの広告もちらりと。そういえばジャケットデザインのセンスがなんとなく似てるなー、と思ってました♪

CDは4枚組。短編集『シャーロック・ホームズの帰還』の最初の四つの話…『空き家の冒険』『ノーウッドの建築士』『踊る人形』『美しき自転車乗り』…が、一枚に一話ずつ収録されています。
我慢できず、最初の『空家の冒険』を聴いてみました。三年間死んだと思われていたシャーロック・ホームズがロンドンに帰り、ワトスンと再び共同生活を始めるまでの話です。
(自分はホームズファンなのですが、個人的にはこの話が日本語で読んだ初めてのホームズで、これで転んだようなものなので、記念すべきエピソードでありマス。…ホームズとの初対面は英語の授業で読まされた『赤毛連盟』だったので、その時は残念ながら魅力を感じる余裕はありませんでした…(^^;))

…まず感じたのは、奇妙にも「え、これピーター・カッシングの声?」ということでした。なんかいつもより低く聴こえて。…で、聴いていくうちに合点がいきました。これはワトスンを演じている声なんですね。シャーロック・ホームズの物語は、ホームズの親友ワトスンが一人称で語る形式なのです。そのため、地の文はすべて「ワトスンの声」で読まれているのでした。ホームズの台詞になったら、いつもどおりのピーター・カッシング…というか、ホームズを演じるピーター・カッシングのトーンでした。なるほどなー…♪

英語の聞き取りなど無理なので、kindleに入れていた無料テキストで原文を追いつつ聴きました。省略はなく、本文すべてが読まれていました。当然ですがキャラが変わると声色が変わって…ホームズは最初変装をしているので、そこでも面白い声を出すのですが…一人芝居というか、表情豊かに読まれていて引き込まれます。台詞の部分だけでなく、地の文もワトスンの一人称なのが、すごく活きてます!ああ、耳で聴いただけで意味が全部つかめたらなあ!

じつは先日から、ハマー版とBBC版のカッシングのホームズをちょくちょく見返しているので、ホームズのときの声は「耳慣れた」感じ、ワトスンの声は、「カッシングがワトスンを演じるとこんな感じなのかー♪」という感じで…しかも、私見ではルックス最盛期(笑)の1971年の声。いろんな意味で萌えまくりです。(笑)こんな音源が聴けるなんて、シアワセ…他のも早く聴かなくちゃです♪しかもこれ、「Volume 1」…ということは、もしかしてこの短編集すべての朗読音源がこれから発売されるのでしょうか。嬉しすぎてめまいがします…。(笑)

2011年1月19日水曜日

そーだったのかスターウォーズ! ~偉大なモフ・ターキン(笑)~

 (昨年夏にテレビでのシリーズ連続放映を見たときの感想です)

スターウォーズ連続放映、昨夜はエピソード4を見ました♪美人すぎるじいさまを堪能… ああ、美しいモフ・ターキン!こんなにちょこちょこと出番あったんだね…。レイア姫に会うところと、最後のところくらいしか印象に残ってなかったですよ。

そしてそして、会議のシーンに加わっていた一人が、『ブラッディ/ドクター・ローレンスの悲劇』でカッシングの息子をやってた方なのを発見しました!そーかあ…。
今さらながら、ラストクレジットの出方を見ると、バリバリのラスボスだったんだなあ…と感慨が。(しかしいつのまにベイダーより立場が上になったんだ?エピソード3の最後で顔を出したときは側近ぽい雰囲気だったのに、今じゃ顎で使ってるぞ?(笑))
ともあれ、「Peter Cushing」と画面に一行扱いで出たときには、感激してしまいました。本編が終わったあとにNHKがくっつけてる写真つきのキャスト紹介にも、ちゃんと出てきたのが嬉しかった♪(やっぱあの人差し指をたてるポーズなんだな、ターキンは。でなきゃ自分の唇をさわってる横顔、ですよね♪)

たしかカッシングの自伝では、ターキンが一作目で死んでしまって、続編に出られなかったことを嘆いておられましたですよ。べつにキャラに愛着があるからじゃなくて、役者は食ってかなきゃならないから」
キャラについてはあんまりよくわかってなかったそうで、たしかクリストファー・リーのインタビューで、「(カッシングに)グランド・モフってなんなんだ?と聞いたら『私にもサッパリだ』と言われた」という話がありました。そんなもんなんでしょうね。(笑)デス・スターについては、冗談らしく別の名前のほうがいいという案を書いておられました。何語だかわからないので意味がわかりませんが。フランス語かな?とにかく「…むしろこのほうがいいと思ったけど、聞かれなかったから言わなかったヨ」ということでした。(笑)
撮影時のターキンの足元がスリッパだったことは前に書きましたね。そう思うと、ほんと見ていて頬がゆるみます。

…そういえば、少し前に「なぜグランド・モフが肩書きじゃなくて、モフ・ターキンで姓名とインプットしていたのか?」の謎が解けました。ブックオフで中古VHSを見つけて箱の裏書きを読んだら、役名が「偉大なモフ・ターキン」となってたんです…。Grand Moff Turkin。偉大なモフ・ターキン…あの作品だけ見るとラスボスだから、ありえない解釈じゃない。作中で「グランド・モフ」という肩書きが出てきたわけでもなかったみたいだし。レイア姫にもターキン総督(Governor Turkin)と呼ばれてましたよね、確か。(記憶違いだったらごめんなさい)だから日本の観客は、たぶんほとんどみんな「モフ・ターキン」だと思ってたんですよね。(それとも私の周りだけ?(^ ^;))
…とにかく制服もよく似合って、絵になる悪役っぷりでした。ごちそうさま♪

しかしエピソード順に見ると、たしかに印象が変わりますね。やっと全体のストーリーがつかめましたよ。(笑)
奥の深い会話がなされているのも、今まであんまり印象に残ってませんでした。
母を助けられなかったときの、アナキンの台詞…「次はしくじらない」。ここで彼はジェダイの道からそれるんですね。受け入れないでコントロールしようとする。それができると信じる。これって「アメリカン・ウェイ」が美徳としてきたことじゃないか。それを暗黒面として描いているのは、アメリカのポピュラー映画ではたしかに画期的なのかも。そしてヨーダの台詞…「心を鍛えて、失うことの恐怖を捨てろ」。なるほどなあ。たしかに仏教的な思想なんですね。

でも、アナキンとダース・ベイダーにはやっぱり格差があって、ベイダーが同じ人物の後年の姿とは見えませんでした。ボディ・ランゲージがかなり違うんですよね…ベイダーはかぶりもので表情が出せないためか、オーバーアクションになるので。これはエピソード3で、ベイダーのマスクが装着されたあとの動作でも感じました。ここからいきなり「ダース・ベイダーの身振り」になっていて、もうアナキンとは別物になっている。ここのベイダーが「アナキンの身振り」でいてくれたら、もうちょっとスムーズに印象がつながったと思うんですが。もしくは、ダークサイドに落ちたあとのアナキンが、ちょっとだけベイダーっぽい仕草をするとか。(うーん、でもあれはあれでナイーブなキャラが成立しちゃってるからなあ…後付けの難しさですね)

ただ、頭のなかではつながりを理解しているので、エピソード4(やっぱ「一作目」というほうがピンとくるなあ…)の冒頭、ベイダーとレイア姫が対面するところは、じつはすごいドラマチックなシーンなんだなあ、とは感じました。感情的にでなく、あくまで頭で感じただけですが…。要約すると「ベイダー一家」の話なんですね、スターウォーズって。

ベイダーに比べてびっくりしたのが、オビ・ワンがちゃんと「同じ人物の老後」に見えること!顔の形も声も違うんですが、キャラクターとして同じ人だ、というのが感じられる。特に目つきとか。これはすごい。すごいぞユアン・マクレガー
ボバ・フェットがチラッと姿を見せたところも(たぶん後付けだと思いますが)ぐっときましたですねえ。こーいうのは、続けざまに見るとわかりやすい。彼の父親のジャンゴ・フェットはすごくハンサムだったから、ジャンゴが細胞を提供したクローン軍団は、まるで帝国のハーレムに見えましたですよ。(笑)…ところで、帝国軍の兵士はアーマーのデザインがエピソード3とは違うのですが、あれはもうクローン軍団じゃないということなのかしら?中身が全部ジャンゴの顔だと想像すると、白兵戦シーンも楽しいんですが。(笑)たぶん映画以外のスピンオフ作品のなかで、エピソード3から4の間の話ってやってるんでしょうね。ターキンの出世物語もあるんだろうか。うーん、知りたい…。(笑)

…しかし、考えてみるとこの世界のドロイドは機械にしては長生きですね。精密機械ほど壊れやすくて、基本のOSも数年ごとに交代して、前のが使えなくなる…という今の感覚で見ると、テクノロジーの進歩がゆっくり(というかほとんどない?)なのも、すごく古いマシンを修理して使えるのも、むしろレトロな感じ。コンピューターというより、古い車を整備し直して動かすみたいな感覚なんですね。ジャンクの山から使える部品を探すとか、そういう世界。楽しそうだなあ…。

2011年1月14日金曜日

『The Mummy』(1959)

 (以前ちらりと触れておりますが、DVDを初見したときの感想を掘り起こして載せます)

 ピーター・カッシングクリストファー・リー共演のThe Mummy、邦題は『ミイラの幽霊』ですが、国内盤が出てなくて字幕なしでのレビューなので、原題で書いておきます。
画面に集中したくて英語字幕も消して見たので、わかったのはだいたいのところですが…単純なお話なので助かりました(笑)。

19世紀末、イギリス人の考古学者がエジプトで王女のミイラを発掘。そのミイラを守るために隠し部屋に入れられていた別のミイラが蘇り、発掘者を襲うというものです。ただし、じつはそのミイラは王女を密かに愛していた神官、という悲恋設定が…あれ、「エジプトの高貴な女性と神官の禁断の恋」で「ミイラがよみがえって人を襲う」って…『ハムナプトラ』って似たよーな話じゃなかったっけ…?と思ったのですが、ハムナプトラはテレビで断片的に見ただけなのでよくわからないです。もしかしたら元ネタかも?

カッシングの出演作品ハンドブック(?)として少し前に購入した『Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations 』をちらりと見てみたら、『The Mummy』自体が、1930年代にボリス・カーロフ主演で作られた映画のリメイクのようです。ハムナプトラとは「元ネタが同じ」なのかも。(違ってたらすみません)

キャストは、ミイラ発掘にかかわる考古学者役にピーター・カッシング。珍しく父親が出てくる役で、少しばかり若作り。ナカナカ素敵です。彼の父、叔父も考古学者らしく、冒頭そろってエジプトにいるのですが、カッシング演じるジョンは発掘時には足を怪我してテントで留守番していたため、現場に居合わせなかったという設定です。

そしてミイラと、回想シーンの神官がクリストファー・リー。ミイラのときは包帯ぐるぐる巻きで、動作と目だけの演技なんですが…目が語りますね。すごくよかったです♪なんか…ハンサムなんですよ、普段より。終盤の顔なんか、ライティングのせいか白塗りのときの市川染五郎似です(笑)。長い手足とプロポーションのよさも際立ってます。ちょっと惚れ直しました。

カッシングのリーとの格闘シーンは二回あって、両方ミイラに首を絞められてました。(笑)足の怪我の後遺症でびっこをひいている役で、いつものカッシングと身のこなしが違うのも見どころ。服装がスリムな体の線を引き立てていて、ヘルシング教授やフランケンシュタインみたいな強さはないキャラ。なにかと色っぽいです♪

お話は淡々と進む感じで、あまりインパクトを感じなかったのですが…たぶん『ハムナプトラ』を見ていなければ、ミイラの隠れた悲恋話に新味を感じたはずだと思います。悲恋設定がなければ、トホホ映画だった『半魚人の逆襲』と似たりよったりの展開…。でもこの設定の違いが決定的なのですけど!それと、エジプト人キャラに「イギリス人が外国の遺跡から持ち出したものを、大英博物館に飾ること」を批難させているのも、映画の胆力(?)を上げてました。
…まあそのへんとは無関係に、カッシングがすごく色っぽいのでお気に入りの一本になりました。えへへ♪(若い頃の姿でこうも萌えるのは、自分にとっては珍しいです(笑))

カッシングの奥さん役が、出番は少ないものの設定的に重要な役なのですが、とてもきれいな女優さんでした。初めて見た方です。柔和にしたエリザベス・テイラーという感じ。セットも、いつもながら雰囲気があってよかったです。(ハマー映画は低予算らしいものが多いのに、いつも美術がすばらしいですね!)ハマーのスタジオだったブレイスタジオにあるマナーハウス(イギリスの古風な邸宅)…ドキュメンタリーなどでさんざん見たのですが…その外観がもろに出てきたのが、なんか嬉しかったです。ほかの映画でも別の形でいろいろ使われています。

特典映像はオリジナル予告編とキャスト一覧のみでしたが、自分にはちょっと貴重な一本になりました。ああ、字幕ともっとマシな特典つきの国内盤出してほしいデス…。