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2010年10月14日木曜日

『フランケンシュタインの復讐』(1958)

 

フランケンシュタインの復讐 [DVD] カッシングのフランケンシュタインシリーズ二作目。一作目の最後でギロチン刑に処せられたはずの男爵がじつは生きていた!(笑)という、もう「一本目が当たったからムリヤリ続編作ってみました!」というのが見え見えの話なんですが、期待しなかったせいかすごくおもしろかったです!カッシング最高です。惚れなおしました!

お話は、ギロチンを逃れた男爵がシュタインと名前を変え、医師として開業しつつ例の研究も続けていて・・・というもの。新しい「クリーチャー」も出てきますが、一作目ほどグロいビジュアルではありません。クリーチャー自身の心理や悲劇性というのもちゃんとあって、キャラクターとしての格が上がっています。役者さんもよかったです。

一番気になってたのは、「ムリヤリ男爵が生きてたことにする」あたりの言い訳をどうつけてるのかな、というところだったんですが・・・。すごい。ちゃんと理屈が通っている。関与する人間の心理がウソくさくなくて。
それは全体にわたって言えることで、低予算映画なのに脚本はちゃんと作られてるんですね。(まあ人体パーツの扱いとか、「目玉」の動きとかは今見ると爆笑ものですけど(笑)、それは時代ということで)

・・・なんか甘えた設定のB級映画とかで汚れた目から見ると、当たり前のように実現している水準の高さにびっくりです。・・・これは、カッシングに限らず、出演者の演技力にも負うところ大だと思います。脇役まで、こんなに年齢の高い人(つまり役者として経験を積んでいる人で、当然うまい)がたくさん出ているという贅沢さは、日本のこの手の作品ではなかなか実現されないことですよね…。

男爵の助手になる若い医師をやってた方に見覚えがあるのですが、ちょっと何で見たのか思い出せません。
研究室の番人役のおじさんは・・・あらまあ、『吸血鬼ドラキュラ』で居酒屋のおやじさんをやってた方では?(笑)

カッシングのフランケンシュタイン男爵は、本当に見事でした。というか脚本段階でも、男爵は狂人ではなくて、あくまで「医学の天才」である・・・というラインを崩してないんですね。だからその才能に引かれて協力者が現れる、という展開に無理がない。原作と違って罪悪感はないものの、邪悪な意図もないのです。べつに人を害そうなんて思ってない。ただ、その熱意と優先順位が世間からは認められない領域にいってしまってる、というのが悲劇なんですね。

ボタンホールに必ず花をさしたり、一作目よりさらにエレガントになったような気がします。女がらみがないので(キャラは出てきますが、色恋沙汰はなし)、かっこよさが際だちます。うーん、やっぱ男爵は研究の前には女なんか眼中になし、という方向の「異常さ」が似合います。サービスのためとはいえ、別の作品で女に手を出す男爵はなんとなく「かっこわるい」です。(とはいえ、一作目は「カッシングの珍しいキスシーンが見られる」という意味でも貴重なのですけど(笑))

冒頭の処刑前の髭面から始まって、正装やら白衣やら、コテンパンにやられた手負い姿(上半身ヌード。この方は脱いでもあまり嬉しくないけど(笑))やら、はたまたデヴィッド・ニーブンばりの洒落者紳士姿まで見られて、カッシング鑑賞ビデオとしても一級品です(笑)。しかしつくづく、上手い人ですねえ・・・

DVDの特典映像が少ないのですが、予告編は見てみたら貴重なものでした。本編にはない男爵の述懐が使われてるんです。これは予告編用なのかな。もしかしたら本編で切られたカットなのかもしれません。とにかくカメラを見据えて自分の身の上を語る男爵、すごくステキです。

特典といえば、懐かしい『ブライド』の予告編も入ってました。そういえばこれもフランケンシュタインものですね。これのフランケンシュタイン役はスティングなんですよね。ミュージシャンとしてはファンなのですが、俳優としては贔屓目にも上手くはないので、見ていて恥ずかしいこともしばしば・・・(^^;)。これは見なかったんじゃないかなー。ケーリー・エルウィズ(『アナザー・カントリー』の美青年、転じて『キング・オブ・タイツ』(笑))なんか出てたのかー…。このころのジェニファー・ビールスはまたかわいいですね。なんだかこちらも見たくなりました。