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2010年10月9日土曜日

カッシング&リーの22本/"Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema"

 

Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations

(すでにこの本には触れておりますが、購入したばかりのときの感想です) 

 ピーター・カッシングクリストファー・リー共演作の解説本"Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations" の感想です。といっても洋書なので、まだごく一部を拾い読みしただけですが・・・。

タイトル通り、お二人は22本の映画で共演したそうで、そのすべての映画に関するデータと、撮影中の逸話、メディアの批評などをまとめたものです。初めて見る写真もたくさんあって、目の保養です(笑)。カッシングとリーが寄稿した前書きもついています。カッシングは出版される前に亡くなったそうなんですが、原稿に目を通し、前書きを書く時間はあったようです。

写真を堪能したあとは、逸話として聞きかじっていた、「奥様の死で落ち込んでいたカッシングが『ホラー・エクスプレス』から降りようとしたのを、リーが引き留めた」という話のところを探して読みました。思ったほど萌えエピソードではなかったんですが(なにがあったと思ってたんだ!(笑))「カッシングの性分を知ったうえで、いくぶん強引に引っ張るリーと、繊細なカッシング」というキャラ通りの(?)エピソードでした。

『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行(つくづくアレな邦題だ(笑))は、1972年にスペインで制作された映画で、カッシングとリー主演。シベリア横断鉄道を舞台にした、えらく壮大なSFファンタジー(?)+ゾンビ、というトンデモカルト映画です。テリー・サバラスも派手な役で出てます。(笑)

…スペイン入りしたカッシングは、空港で出迎えてホテルまで送ったプロデューサーに、「とても礼儀正しく、紳士的に」…「映画から降りて明日イギリスに帰りたい」、と言い出したそうです。理由は、最初にもらっていた脚本から書き換えられたものを見て、気が変わったということなのですが・・・。実際にはカッシングの奥様、ヘレンさんの死から一年も経たないうちの海外での撮影で、悲しみの余韻とホームシックとで気むずかしくなっていたらしい、ということです。奥様の闘病から死の間に20キロも痩せたという愛妻家ですし、もともと海外に出るのはあまり好きではなかったとか。
(しかしスペインに来てからこんなことを言い出すなんて。明らかに精神的に参って混乱していたんだと思いますが、プロデューサーの気持ちを考えるとかなりの「困ったちゃん」です…。が、今は「そんなとこもかわいい」とか萌えてしまう・・・(^ ^;))

すでに撮影を始めていたプロデューサーはショックを受け、一週間前から撮影に入っていたリーに大慌てで相談します。リーは「心配いらない。撮影後にホテルで会おう」と請け合って、カッシングを交えた三人で会うことに。

・・・リーは何をしたかというと・・・いきなり「カッシングを安心させるように計画された逸話」(どんなんだ?)を切れ目なくしゃべり続け、カッシングに「降りたい」などと切り出す隙を与えなかったんだそうです(笑)。一人でしゃべりまくったリーは「お休み」と場を切り上げ、「じゃあピーター、明日仕事場で会おう」とサラリと付け加えます。これで一件落着。(笑)

カッシングは一週間後にはすっかり陽気になり、プロデューサーに、「脚本も今では気に入っている」と告げて、気むずかしくなっていたことを謝った、とのことです。

ああ、それほど萌えないと思ってましたが、改めて読むと萌えますわ。やはり(笑)。(・・・)
だってこれ、やっぱりリーがいなかったら降りてますよね。絶対。ほかの部分からも、「リーがどっしりと支えてくれたから安心できた」というのがありありと伝わってきてたまりません。絶対気を変えさせられる、と自信満々のリーもいい♪(なんてイメージを裏切らない人たちなんだろう(笑))あらためてやおいなんかデッチ上げるのがバカバカしくなりますよ。まんま立派にJUNEじゃないか!(言いすぎ(^ ^;))

添えてある写真がまたいいです。撮影中の、二人の笑顔のツーショット。(激萌え♪)
『ホラー・エクスプレス』でのカッシングは、出演作の中でも群を抜くベッピンぶりをさらけ出しているのですが、その陰にそんなエピソードがあったと思うと・・・次にDVDを見返すときは冷静でいられなくなりそうです!(笑)

・・・こんなエピソードもてんこ盛り(?)で、日本語だったら徹夜で読み切ってしまいそうな本なんですが、英語なのがつくづく恨めしい。著者は英語教師だそうで、カッシングの自伝と比べるとはるかに読みやすい文章ではありますが。
(カッシングの自伝は、世代のせいか個性なのか、古い言い回しや文法が普通でない文章がけっこう出てくるので、自分の英語レベルでは「解読」にえらく時間がかかるんです…(^ ^;))
どこかで翻訳出してくれないかな。ほんとに!

ホラー映画関係の書籍というと、なぜか「日本のマニアさんが作品や撮影秘話を紹介・解説する」みたいな、ワンクッション置いたものが多いんですよね。それも『BSマンガ夜話』的なノリでは面白いんですが、情報に関してはどうしても孫引き感があるし、解説者の趣味のバイアスがかかってしまうんですよね。もっとこういう直接取材したものや、一時資料に近いものの翻訳書も出してほしい!・・・うーん、需要が少ないのはわかってるけど、日本語版Kindleが出て、本家並みに電子出版の敷居を下げてくれるとしたら、できるのでは!?(あ、翻訳書は別でしたっけ…?)