時間が経ってしまいましたが、購入を迷っていた新発売ソフト2つ、結局買ってしまったので(笑)感想を書きたいと思います。まずは発売の早かった『テラー博士の恐怖』Blu-rayから。お話は、列車のコンパートメントに乗り合わせた乗客たちが、謎の「テラー博士」(これがカッシング丈)にタロットカードで恐ろしい未来を見せられ…… というもの。
正直に書きますと……うーん、あくまで自分にとってはですが、作品だけならソフトを買いたいと思うほどのものではありませんでした。未見なので買いましたが、一度見れば充分。(^^;)
矛盾というかなんというか、指摘するのもかえって憚られるレベルなんですが、オムニバスとして整合性がないので、木に竹を接いだようなラストで「えっ?」となってしまう。 個々のエピソードはなんとか見られるとしても、あのカッシング丈の●●という設定でまとめることができてないのです。(加えてカッシング丈の美貌がボーボーの眉毛に隠されてもったいなーい☆……いや、それでも隠しきれない美しさ、と言うべきでしょーか!!
※以下はネタバレありです。
カッシング丈の設定……まさに死神なのですが、それが彼らを連れて行くのはいいとして、カードで見せる彼らの「未来」は……いったいどういう時系列?(^^;) これから死ぬ、ということを見せられている人も入れば、死なないでただひどい目に遭うだけの人もいます。そのうえそのままあの世に行ってしまうので、カードで見せられた「未来」は結局やってこないんじゃ??? あるいは死神が見せているのは過去なのか? 乗客たちが「自分の経験を忘れた状態で、あの世に行く列車に乗り合わせた死者の霊たち」ということなら、それでもいいのですが……でもでも、個別エピソードで死んでない人はどうなるんだ???
…たぶん、こういうツッコミは野暮なのでしょう。人間の死亡率は究極的には100%ですしね。(^^;) もしも深夜にたまたまテレビをつけた時にこんなトンデモ映画をやってたら、自分も「な、なんじゃこりゃー!❤」とツッコミ入れて爆笑しつつ狂喜するだろうし、逆説的に「思い出の一本」になるのは想像に難くありません。「そういうもの」として暖かく見守るべきなのでしょう。奇妙な時系列の混乱も、深読みすればハードSFな時間解釈に見えてくる……かもしれないし!(笑)
なんだかツッコミばかり書いてしまいましたが、特典を含めたソフトとしてはとても楽しめました。なんと特典インタビューにはリーグ・オブ・ジェントルメン(イギリスのコメディー集団。メンバーがホラー好きで知られている)のリース・シェアスミスさんも登場! 作品の思い出を語ったりしています。ひっくり返りそうになりました! 最近Twitter……じゃなかったXはあまり覗いてないのですが、じつは使い始めた頃から十数年フォローさせていただいているのです。今はどうかわかりませんが、毎年ハロウィーンへの長ーいカウントダウン(終わったとたんに来年に向けて始めたりする(笑))をなさっていて愉快でした。さすがホラー好きさん❤(笑)これでマーク・ゲイティス兄も出ていてくれたら自分にはお宝盤になったんですが……!(ゲイティス兄も「リーグ」の一員で、自分は『SHERLOCK』でファンになりました。リースさんを知ったのはそのイモヅルです)
このブログにもお二人が関わった話題の過去記事があるので、引っ越し順序を前倒ししてアップしておきます。よろしければおついでにどうぞ♪
▶(2012/5/27)「ホラー御三家ご生誕を祝う映画~マーク・ゲイティス氏のおすすめ~」
▶(2012/10/16)「ホラー・ヒロイン・インタビュー"Scream Queens" BBC Radio 4」
…さて、テラー博士に戻ります。作品の位置づけとしては、これがアミカス・プロダクションのオムニバス作品として最初のものだとのこと。その後のオムニバス作品は全体の形式としての整合性はあるし、好きな作品も多いので、そのきっかけになった映画史的な意義で見るべきなのかもしれません。
個々の俳優さんの演技はもちろんきちんとしています。やはり訃報が頭にあったサザーランドの若い頃の姿が印象的でした……この方の目つきはほんとに吸い込まれそうな「不穏さ」がありますね。そして色っぽくて初々しかったです❤ 他にロイ・キャッスルという方も「絶対どっかで見たことある!」と思いながら見ていました。で、しばらくしてようやく"Dr. Who & the Daleks"(カッシング丈がドクター・フーを演じた劇場版2つのうちの1本目)に出ていた方だと気づきました。そっちも見直したんですが、役の雰囲気が似ていました。
右が"Dr. Who & the Daleks"。 左は『地球侵略戦争2150』("Daleks'Invasion Earth 2150 A.D."日本盤) |
"Dr. Who & the Daleks"は、日本では過去に『Dr. フー in 怪人ダレクの惑星 』のタイトルでVHSのみ出たようで、今のところDVDはありません。カッシング版Dr. Who2本目の『地球侵略戦争2150』(こちらは日本盤DVDあり)が大好きなので、1本目が海外でBlu-ray化されたと聞いた時に我慢できず購入しました。(楽しさはやはり二本目に軍配。音楽も好きです♡)
IMDbなどのプロフィールを見ると人気者だったようですが、自分がロイ・キャッスルを他で見た覚えがあるのはあのドクター・フー映画だけです。『テラー博士…』の中ではトランぺッター役なのですが、実際そうだったそうで……ということは、吹き替えなしで演奏してるんでしょうね。素敵♪ バンドのメンバー役に有名ミュージシャンも参加してるそうで、演奏シーンはたしかに素人目にもめっちゃ良かったです♪(突然シーンのクオリティが上がるので違和感があるくらい…(笑))
…話が脱線してしまいました(いつも通り(笑))。
懐かしの声優さんによる吹替音声も涙ものでした! 槐柳二さん、小林恭治さん、羽佐間道夫さん、広川太一郎さん、山田康雄さん…… テレビ放映は見たことがありませんが、声を聞いてるだけでも頬が緩みます♪ 収録当時タロット(タロー)カードは日本では一般的でなかったらしく(そりゃそーでしょーね☆)、吹替では「イタリア式カード」と言われてるのも時代感があってしみじみします。確かに「14世紀初頭イタリアで占いに使われていたといわれる特殊なカード」…とブリタニカにありました。吹替翻訳の方が調べて表現を工夫したんでしょうね。
加えて監督の音声解説や出演者のインタビューなんかも付いて豪華。……いや、これは逆に特典がないと売れないかも(ゴメンナサイ☆)、とも思いますが、これらの特典のおかげで商品として成立していて、おもちゃ箱のような楽しさがあります。(欲を言えば原語字幕も欲しかったなー……あと個人的な環境の問題なのですが、DVD版も出していただけてたらありがたかったです。[ブルーレイ面倒なの☆(^^;)]一時期は愛蔵版的なソフトを両方のバージョンで出すのがよくありましたが、最近はブルーレイで定着しちゃったんですかねぇ……)
というわけで、自分にとっては恐怖映画というより「ツッコミ入れつつトンデモ設定とレトロ感を楽しむホラーコメディ(?)」という位置づけに。 「顕微鏡を見るジェレミー・ケンプ」(真面目キャラが珍しくてカッコイイぞ!)の「やはり」という台詞に手を叩いて大爆笑するのが案外正しい鑑賞姿勢かも。ライナーノートにあった、監督のカッシング丈への賛辞――「馬鹿馬鹿しい台詞に魂を吹き込めるのは彼しかいない」にも、改めて納得なのでした。
…今回これを書くために見直したら、ちょっと愛着が出てきました(笑)。未見だったカッシング&リー共演作、また一本字幕付きで見ることができて感謝です♪